債務保証

保証人

他人の債務の担保を引き受ける事を言い、主たる債務者が弁済しない場合に限り、その代りとなって弁済する義務を負う。通常の保証人には、催告及び検索の抗弁権(主債務者の執行可能な財産の明示、優先的な主債務者に対する催告を促す)及び、分別の利益(自己の保証範囲の主張)が認められる。

複数保証人の一人が、債権者に対して債務額全額を弁済した場合は、求償権に基づいて、主債務者に対する返還請求は可能であるが、他の保証人に対しては、請求できない。

連帯保証人

前項の通常保証人とは異なり、催告、検索の抗弁権及び分別の利益が認められない。

当初から主たる債務者と同等の立場の債務者となるため、債権者は、主たる債務者又は、連帯保証人の何れに対しても請求が可能となる。

同一債務に複数の連帯保証人が存在している場合でも、分別の利益(頭数割り)が認めらず、一人の連帯保証人が債務の全額について保証する義務がある。

一人の連帯保証人が債務の全額を弁済した場合、主たる債務者に対しては、弁済額の全額を請求できるが、他の連帯保証人に対しては、それぞれの割合のみ請求できる。

実社会の取引において、一般的に保証人と言えば、この連帯保証人を指す事が多い。また、個人の連帯保証人の負担が余りに大きくなる事を危惧する観点から、令和2年の民法改正により、賃貸借契約における個人保証については、連帯保証人の保証範囲を極度額として金額表示する義務が追加され、以降は、極度額の記載が無い契約については、無効となった。

物上保証人

人が保証人となる人的保証に対して、「物」を提供して保証する形態を物上保証という。

弁済義務は無いが、主たる債務が履行されない場合は、物上保証として提供した物の所有権を放棄する必要があり、その物の範囲内でのみ有限的に保証する人を物上保証人という。

例として、融資を受ける借入者以外の者が、その融資の担保として自らの不動産等を提供する場合、その者が物上保証人となる。

住宅ローンの場面では、夫婦の片方が自宅購入資金の融資を受け、所有権は夫婦の共有とする場合において、融資を受けない方の配偶者は、自己の共有分を担保提供する事になるので、物上保証人となる。

根保証人

根保証とは、特定の債権者と債務者の間で将来に渡って行われる様々な取引から生じる不特定多数の債務を全て保証するという強力な保証形態である。

主債務者が、一旦、債務の全額を弁済しても、新たな借入を行えば、それについても保証を負う事になる為、根保証人の負担が余りにも大きい事が問題視され、2020年の法改正により、極度額の設定が必要となった。また、金銭の債務保証については、最長期間を3年と定める期間的な制限も追加された。新法施行以降に締結された極度額設定が無い個人根保証契約については無効となる。